B. Biomedical Graphics & Visualization

手術支援システムの基盤技術となるモデリング・シミュレーション・可視化等の情報学的手法に関する研究に取り組んでいる。計測された医用画像集合から生成されるボリュームレンダリング像をインタラクティブに探索し、切開や変形などシミュレートできるボリューム操作技術の開発を進めている。提案手法やインターフェースを実装した ボリューム可視化ソフトウェア:LiveVolume をフリーで公開し、可視化技術の基礎医学・生物学分野への応用も目指している。

LiveVolume: 対話型ボリューム操作・可視化ソフトウェア

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三次元画像の直接ボリューム操作のための代替ジオメトリ

ボリューム操作に必要なメッシュ構造を三次元画像に重ね合わせた状態でバックグラウンドに隠蔽して保有することで、医師がボリュームレンダリング像に対して直接的に入力を行え、メッシュ構造を意識せずに変形シミュレーションを実施できる Volume Proxy Mesh (VPM) の枠組みを提案する。医用画像には多数の複雑な臓器・脈管構造が含まれ、そのすべてをモデリングすることは困難であるが、VPM上にユーザが着目する臓器の構造及び力学的な条件が漸進的に表現され、セットアップされることによって変形シミュレーションが実施可能となる。この際、ユーザはメッシュ形式を意識する必要がなく、普段から見慣れた医用画像のみを参照しながらの作業が可能である。(共同研究:京大病院 泌尿器科)

  • K. W. C. Hung, M. Nakao, K. Yoshimura and K. Minato, "Background-incorporated Volumetric Model for Patient-Specific Surgical Simulation: A Segmentation-free, Modeling-free Framework", International Journal of Computer Assisted Radiology and Surgery, Vol. 6, No. 1, pp. 35-45, 2011. [html]
  • M. Nakao, K. W. C. Hung, S. Yano, K. Yoshimura and K. Minato, "Adaptive Proxy Geometry for Direct Volume Manipulation", IEEE Pacific Visualization, pp.161-178, Mar 2010. [PDF][mov] (Quicktime, 30.3MB)
三次元画像の構造情報に基づくボリューム探索

ボリュームデータの内部に埋もれた多様な局所構造を効率的に可視化することを目的とし、曲率と大きさを指標とした多次元伝達関数を提案する。本手法は、元画像のスケール空間を構築し、ボリュームデータに含まれる局所構造の各領域に適したスケールを保持する Radius field を生成する。そして、ボリュームのスカラ値、曲率値、スケール値を可視化の指標として利用し、対話的なパラメータ操作によってユーザが3 次元画像データ内の特定の構造を自由に強調・抑制することを可能にする。本手法を医用・生物学データに適用した結果、神経や血管のような管状構造に対する太さ毎の分類や、微小構造に埋もれた相対的に大きな構造の表示など、局所構造の種類や大きさに基づく効率的な可視化が可能であることを確認 した。

  • 衛藤 聖, 中尾 恵, 杉浦 忠男, 湊 小太郎, "局所構造の大きさに基づくボリューム探索", 電子情報通信学会技術報告 (MI), Vol. 110, pp.153-156, 2011. [mov] (mpeg, 3.1MB)
  • Y. Hirata, M. Nakao, T. Sugiura and K. Minato, "Curvature-based Volume Visualization of Local Structures", ACM SIGGRAPH Asia (sketch), 2008. [html][mov] (wmv, 16.MB)
多値ボリュームラベルに含まれる境界構造を反映したメッシュ生成

解剖学的構造に固有のラベルが付与された多値ボリュームラベルを対象とし、その境界構造を反映した任意の詳細度のメッシュを直接的に生成する手法を提案する。これまで、医用シミュレーションやグラフィック分野などにおけるメッシュ生成では、最初に膨大な頂点数からなるメッシュを構築し、その後に妥当な計算時間でシミュレーションが可能な規模まで頂点を間引くアプローチがとられてきたが、頂点を間引く 際にメッシュが持つ境界構造を維持することが難しい。本アプローチでは、多値ボリュームラベルが持つ幾何学的な特徴に基づいて、さらに頂点間の密度を考慮しながら頂点を配置することで、少ない頂点でも境界構造を 反映したメッシュを直接的に生成する。

  • Y. Fujiyoshi, M. Nakao, T. Iwasaki and K. Minato, "Direct Meshing with Topological Structures from Multi-material Volume Data", IEEE Pacific Visualization(Poster), pp.1-2, Mar 2010. (Best Poster Award)
弾性変形モデルに対する頂点数を保存した切開方法

本研究では、弾性変形モデルに対する頂点数を変化 させない切開方法を提案する。従来方法とは異なり、メッシュの頂点や要素を分割することなく、頂点の再配置と要素の削除のみによって、切開創を幾何学的・力学的にモデル化する。頂点再配置によって切開前後において質量を保存し、アーチファクトの少ない滑らかな切開創を構成する。また、計算時間の増加を抑制するだけでなく、切開前後でモデル頂点数を変化させないことを利用した剛性マトリクスの前処理と部分更新により、有限要素モデルでも高速な切開表現を可能とする。

  • 中尾 恵, 河本 敏孝, 杉浦 忠男, 湊 小太郎, "弾性変形モデルに対する頂点数を保存した切開方法", 日本バーチャルリアリティ学会論文誌, Vol. 12, No. 4, pp.585-594, Dec 2007.[PDF][mov1][mov2]
  • M. Nakao, K. Minato, N. Kume, S. Mori and S. Tomita, "Vertex-preserving Cutting of Elastic Objects", IEEE Virtual Reality Poster, p. 377-378, Mar. 2008. [html]
ボリュームインタラクションのためのマスキングと実時間処理方法

三次元画像のボリュームレンダリング像への任意領域への対話的なインタラク ションの確立には、ボリューム表現、直感的な操作のためのインターフェースなど様々な要素技術が必要となる。本研究では、ボリュームインタラクションにおいて想定されるボリューム像上の関心領域の指定や参照、属性の設定、加工(カット&ペースト)・移動・回転・変形などの操作を想定し、それら操作を可能とするボリューム像に対するマスキングによる三次元任意領域の高速レンダリング方法及びグラフィカルユーザインターフェースを提案する。

  • 中尾 恵, 黒田 知宏, 湊 小太郎, "ボリュームインタラクションのためのマスキングとその実時間処理方法", 日本バーチャルリアリティ学会論文誌, Vol. 10, No.4, pp. 591-598, 2005. [mov] (mpeg, 32.1MB)