A. Surgical Planning & Navigation

本グループでは、医用バーチャルリアリティ(医用VR, 医用グラフィクス)技術に基づく手術シミュレーション・術中ナビゲーションシステムの研究を進めている。患者個人の CT/MRI 三次元画像に基づいて手術プロセスを計画し、手術中に内視鏡や術具操作と同期して計画内容を提示する、いわば施術者に術前のリハーサルと術中における第二の目を与える手術支援システムを開発している。外科手術の定量化と次世代の情報支援型手術の開発を通して、医師・患者双方の負担軽減に繋がる新しい医療サービスの創出を目指す。



臓器変形・切除プロセスの術前シミュレーション

肝切除術では、症例ごとに肝臓内の複雑な血管の走行を踏まえた切離面を三次元画像上に記述し、計画した切離面を参照しつつ手術を進める試みがなされている。しかし、手術時には視野の確保などのために肝臓を変形させるため、切離すべき方向が変化する。本研究では、術中に想定される変形をインタラクティブにシミュレートし、切離面の変化を可視化する方法を提案する。提案方法により、臓器変形時の切離方向や切離の進展に伴って現れる血管構造を事前に確認した上で手術を遂行することが可能となる。(共同研究:京大病院 胆肝膵・移植外科)

  • M. Nakao, Y. Oda, K. Taura, and K. Minato, "Direct Volume Manipulation for Visualizing Intraoperative Liver Resection Process", Computer Methods and Programs in Biomedicine, Vol. 113, No. 3, pp. 725-735, 2014. [html]
  • M. Nakao and K. Minato, "Physics-based Interactive Volume Manipulation for Sharing Surgical Process", IEEE Trans. on Information Technology in Biomedicine, Vol.14, No. 3, pp. 809-816, 2010. [html][mov] (wmv, 11.6MB)
  • 中尾 恵, 河本 敏孝, 杉浦 忠男, 湊 小太郎, "弾性変形モデルに対する頂点数を保存した切開方法", 日本バーチャルリアリティ学会論文誌, Vol. 12, No. 4, pp.585-594, Dec 2007. [PDF][mov1][mov2] (wmv, 1.8MB)
形状評価指標を備えたセミオートマティック術前計画システム

本研究では、患者個人の三次元画像を用いた直感的かつ定量的な手術計画の立案を可能とし、医療従事者による最適な手術工程の導出を支援する術前計画システムの開発を目的としている。下顎骨再建における腓骨移植計画を対象として、医療従事者の知見に基づいた手術工程の定量評価を可能にする評価指標を設計し、空間的ボリュームモデルの対話編集操作を通してシステムの内部パラメータを最適化するセミオートマティック手術計画システムの開発を進めている。(共同研究:奈良医大 口腔外科, イーグロース株式会社)

  • M. Nakao, M. Hosokawa, Y. Imai, N. Ueda, T. Hatanaka, T. Kirita and T. Matsuda, "Volumetric Fibular Transfer Planning with Shape-Based Indicators in Mandibular Reconstruction", IEEE Journal of Biomedical and Health Informatics, 2014. (in press)
  • 中尾 恵, 人体・臓器形態のバーチャル化 ~三次元画像に基づく手術工程のモデリング~, 日本バーチャルリアリティ学会 学会誌 特集記事, pp. 11-15, 2013. [PDF]
心エコー画像を用いた心血管形状のインタラクティブモデリング

専門医が心エコー動画像から診断した先天性心疾患の病態を表現することを目指し、専門医が心エコー動画像を参照しながら予め用意した心血管モデルをインタラクティブに編集することで,患者固有の心血管モデルを構築するシステムを提案する。非常に多様かつ複雑な先天性心疾患の心血管の形態を表現するために、心血管の形態的特徴を形状とトポロジーの二つに分類し,それらの編集をインタラクティブに達成する手法を提案する。また、心エコー動画像に写る患者固有の心血管の形態を正確にモデルに反映し,かつ複雑に入り組んだ心血管モデルを容易に構築するために,心エコー動画像上での入力を可能とする形状編集インタフェースを提案する。(共同研究:国立循環器病研究センター)

  • R. Haraguchi, M. Nakao, K. Kurosaki, M. Iwata, K. Nakazawa, K. Kagisaki and I. Shiraishi, "Heart Modeling of Congenital Heart Disease Based on Neonatal Echocardiographic Images", Advanced Medical Engineering, Vol. 3, pp.86-93, July 2014. [html][PDF]
  • M. Nakao, K. Maeda, R. Haraguchi, K. Kurosaki, K. Kagisaki, I. Shiraishi, K. Nakazawa, K. Minato, "Cardiovascular Modeling of Congenital Heart Disease Based on Neonatal Echocardiographic Images," IEEE Trans. on Information Technology in Biomedicine, Vol.16, No.1, pp. 70-79, Jan. 2012. [html]
  • 前田 一真,原口 亮,中尾 恵,黒 嵜健一,鍵崎 康治,中沢 一雄,湊 小太郎,“ 新生児心エコー画像に基づく先天性心疾患の心血管形状モデリングシステムの開発”,電子情報通信学会技術報告書, Vol. 110, No. 364, MI2010-84, pp. 17-22, 2011.
リアルタイムボリューム変形による手術プロセス可視化

本研究では、鏡視下手術における患者の症例に合わせた高度治療計画の支援を目的として、術前リハーサルシステムの開発を目指している。手術時に想定される軟組織の物理的な変化をシミュレートし、実時間でボリューム像上に描出することで、あたかも術前に手術を試行できるような環境を提供する。術前における綿密な手術計画の立案、計画内容の共有を支援する。(共同研究:京大病院 心臓血管外科、泌尿器科)

  • M. Nakao and K. Minato, "Physics-based Interactive Volume Manipulation for Sharing Surgical Process", IEEE Trans. on Information Technology in Biomedicine, Vol.14, No. 3, pp. 809-816, 2010. [html][mov] (wmv, 11.6MB)
  • M. Nakao, T. Kuroda, H. Oyama, G. Sakaguchi and M. Komeda, "Physics-Based Simulation of Surgical Fields for Preoperative Strategic Planning", Journal of Medical Systems, Vol. 30, No. 5, pp. 371-380, Oct. 2006.
内視鏡下脊椎手術計画のためのボリューム切削方法

内視鏡下脊椎切削術の支援を想定し、椎骨に対する切削範囲をマウス等の二次元入力デバイスを通してボリューム像上に直接的に入力できる手法を開発した。本方法は、視線方向の深さを制御することで意図しない誤切削を防ぎつつ、切削時に切削境界に生じるエイリアシングを抑えた精緻なレンダリング像を生成する。また、任意断面への入力を可能とすることで外部からは直接観察が難しい箇所であっても切削領域を直接的に入力可能とするインターフェースを開発した。(共同研究:和歌山医科大 整形外科)

  • K. Imanishi, M. Nakao, M. Kioka, M. Mori, M. Yoshida, T. Takahashi and K. Minato, "Interactive Bone Drilling using a 2D Pointing Device to Support Microendoscopic Discectomy Planning", International Journal of Computer Assisted Radiology and Surgery, Vol. 5, No. 5, pp. 461-469, Sep. 2010. [html][mov] (mpeg, 19.1MB)
  • K. Imanishi, M. Nakao and K. Minato,  “Direct Volume Drilling of Internal Structures using a 2D Pointing Device”, ACM SIGGRAPH Asia, Dec 2010.
放射線治療動体追尾照射のための肺腫瘍の変位推定

近年、呼吸によって移動する肺腫瘍に対し、腫瘍を追尾しながら放射線を照射する動体追尾照射の実現が期待されている。しかし、照射中に取得可能なX線直接撮影像はコントラストが十分でない場合が多く、腫瘍位置を正確に把握することは難しい。本研究では患者に追加の負担を強いないシミュレーションベースの動体追尾照射の実現を目指す。照射前に取得されるCT断層画像に基づいて、肺の呼吸変形モデルにより肺腫瘍の三次元位置を推定する。変形結果に基づいてDRR(Digitally Reconstructed Radiograph)を生成し、実際に撮像される時系列X線画像との類似度を評価することでシミュレーションパラメータを最適化する枠組みを提案する。 (共同研究:神戸先端医療センター)

  • 中尾 恵, 五十嵐 匠真, 小久保 雅樹, 湊 小太郎, "放射線治療における動体追尾照射のための肺呼吸変形モデルのパラメータ最適化", 第50回生体医工学会大会, O1-6-2, p90, 2011.
  • 川島 礼子, 中尾 恵, 小久保 雅樹, 湊 小太郎, "放射線動体追尾照射のための肺腫瘍の変位推定及び可視化方法", 電子情報通信学会論文誌, Vol. 91-D, No. 7, pp. 1829-1836, Jul 2008. [html]
  • M. Nakao, A. Kawashima, K. Minato, M. Kokubo, "Simulating Lung Tumor Motion for Dynamic Tumor-Tracking Irradiation", IEEE Nuclear Science Symposium and Medical Imaging Conference, pp. 4549-4551, Oct 2007.