C. Biomedical Engineering and Haptics

 生体機能や経験知の定量的な理解を目指した研究を進めている.特に,接触力計測装置や三次元位置・姿勢計測装置、フォースフィードバック装置等を活用したVRシステムの開発や心理物理実験を通して、触力覚情報の伝達・共有法の確立や触知のメカニズムの解明を目指している.

弾性体に対する指先操作の認識と解析


実物体に対する手指操作の定量的理解を目指して,指先感覚を阻害しない手指操作計測 システムを構築し,弾性体に対する押し込みとなぞりを指標化する特徴量を選定した, 被験者実験を通して,求めた特徴量に基づく線形決定境界が手指操作の識別に有効である ことを確認した.複数指操作における指先特徴量の解析に応用している.

  • M. Nakao, M. Senoo, T. Matsuda, "Fingertip-based Feature Analysis for the Push and Stroke Manipulation of Elastic Objects", IEEE Trans. on Haptics, Vol. 10, No. 4, pp. 523-532, Oct 2017. [PDF][html]
実世界における触力覚情報のリアルタイム共有

実世界において他人と同時に同じ触感を得ることは容易ではなく、触力覚情報を他人へ正確に伝達することも難しい。この問題に対し、本研究では指先の力のセンシング装置と三次元位置・姿勢計測装置、フォースフィードバック装置を活用したリアルタイム触覚共有システムを開発した。実験を通して、能動触となる送信側と受動触となる受信側間の力をべき関数に基づいて補正することで等価な感覚を得ることができることを確認した。

  • M. Nakao, R. Kitamura, T. Sato and K. Minato, "A Model for Sharing Haptic Interaction," IEEE Trans. on Haptics, Vol. 3, No. 4, pp. 292-296, 2010. [html][PDF]
ハプティックインタラクションによる大動脈の硬さの伝達

従来の臨床教育では、医師は日々の手術を通して医療手技を経験的に身につけるのが一般的で、安全性や患者への負担が課題とされてきた。リアルタイム物理 算とフォースフィードバック装置によって触れるバーチャル臓器を提供することで、様々な病態や手術状況を再現し、手技を定量的に評価することも可能とな る。医学部の実習に開発した大動脈触診システムを導入し、大動脈の正常・硬化時の硬さの習熟に効果的であることを確認した。(共同研究:京大病院 心臓血管外科)

  • M. Nakao, T. Kuroda, M. Komori, H. Oyama, K. Minato and T. Takahashi, "Transferring Bioelasticity Knowledge through Haptic Interaction", IEEE Multimedia, Vol. 13, No. 3, pp.50-60, 2006. [html][PDF]